Unlock yourself. 自分を”アンロック”せよ

津波から奇跡的に生還した”禅僧”の「自分をアンロック」するブログ。

風がふくと”桶屋”は儲かるのか?

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風がふくと桶屋が儲かる

ミャンマーの選挙が世間を賑わしている。

また、友人が今ミャンマーを訪れていたりして

なにかとミャンマーが話題にのぼるので

”風がふくと桶屋が儲かる”というような

ひとつの不思議な物語を思い出した。

 

ちなみに、科学の分野では”風がふくと桶屋が儲かる”のことを

バタフライ効果”と呼ぶ。

蝶が羽ばたきしたことで、

遠くの場所で竜巻が起きるか?という意味である。

(厳密には意味が違うかもしれないが)

 

国民服「ロンジー」

約20年前、バックパック背負って

ミャンマーを訪れた時のこと。

 

ミャンマーでは

男女問わずほとんどの人が「ロンジー」という

民族衣装の”巻きスカート”を穿いている。

ズボンを穿いているとなんだか落ち着かない気がして

市場へ行ってロンジーを探した。

 

すぐにロンジーの”生地”は見つかった

「縫う店」が全部閉まっていた。

生地の店と縫う店が分かれているのも何だが‥‥。

 

ちょっと立ち話をしていると

通りがかりのガタイのいいおじさん

ウチに来れば縫ってやる、と言って

なかば強引に、来い来いと私を案内し始めた。

 

こわいんですけど…

 

断るタイミングもつかめず半信半疑でついていくと

おじさんは入り組んだ路地の奥へ奥へと進んでゆく。

こわい。

もういいです、と何度も断ろうとするが

いいからいいからと取り合ってくれない

そのうち、薄汚れた建物の前で立ち止まり

ここだ、と言ってその建物の中の真っ暗な階段を登り始めた。

いよいよまずい‥‥。

 

暗闇の奥から”カム!”とおじさんが呼ぶ。

 

なにかあったら全速ダッシュで逃げることを心のなかで決め

おじさんについて階段を登り

ここだ、と言われた3階のドアを開けた…

 

するとそこには

 

子どもたちが遊びまわり

老若男女10人ぐらいの大家族が

ちょうどご飯を食べようとしていたとこだった。

 

スズキセンセイとの出会い

 

助かった…。

 

人知れずホッと胸をなでおろすと

奥にいる細いけれど迫力のあるおばあさんに手招きで呼ばれた。

 

スズキセンセイ、ワカルカ

 

??

 

「スズキセンセイ、セワニナッタ。 トウキョウカラ キタ。シッテルカ?」

 

急に片言の日本語で話しだしたおばあちゃん。

スズキセンセイ?

わからない。

トウキョウは広いから、と答えると

ミャンマー ニホンジンガキタトキ セワニナッタ。イイヒトダッタ。」

 

なるほど…。

 

その当時から約50年前

おばあちゃんが学生だったころ

ミャンマー日本軍が駐屯していて

日本から来ていた”鈴木先生”という方に

お世話になったということなんだ。

 

手際よくロンジーをミシンで縫いながら

片言の日本語で、日本語を思い出しながら

懐かしそうに、嬉しそうに

ぽつりぽつりと思い出を話してくれた。

 

ハピネスの誕生

ロンジーが縫い上がり

子どもたちと並んでカレーのような料理をごちそうになり

ミャンマーの大家族との夕食を楽しんだ後

私はそろそろ暗くなったので帰ると伝えた。

 

気になっていたのは

 

料金

 

「スズキセンセイ セワニナッタ。ニホンジンガキテ ウレシイヨ。」

 

おばあちゃんがそう言い

目に涙を浮かべてロンジーを手渡してくれた。


家族もみんな私の突然の訪問を喜んでくれ

喜んでいるおばあちゃんを見てまた喜び

むしろ

私に"来てくれてありがとう"と言ってくれた。

 

そこに、ハピネスが誕生した。

 

御礼のお金は、誰も受け取らなかった。

 

家族みんなと何度も握手をし別れを告げ

おばあちゃんの縫ってくれたロンジーを不格好に穿き

名残を惜しみながらその家をあとにした。

 

私が風を起こしている

 

鈴木先生


スズキセンセイ

 

ありがとうございました。


あなたがよくしてくれたご縁が

50年の時を超えて

私に届きました。

センセイの知っているあの少女は

まだあなたのことをよく覚えていて

おばあちゃんになって大家族に囲まれて

元気に暮らしていましたよ。

 

私の”生きていること”が

いつか誰かにハピネスを起こすのか

それが起こるのかも

それがいつなのかも

それが誰になのかも

私にはわからない。 

 

しかしそれが起こった時

 

すばらしさは

ハピネスは

 

ミャンマーの路地裏で

確かに立ち会った。

 

風がふくと、桶屋が儲かるのだ。

 

その風は

私たちが生きていること

起こしている風なんだ。

 

Have a good day, and peace.

 

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