10年後の緩和ケアの現在地
戦友との再会
今日、ある知人の御見舞にC病院を訪ねた。そのついでに、およそ10年前に岩手に初めての「緩和ケア」(いわゆるホスピスケア)を持ち込んだ立役者の一人のH医師に、多分8年ぶりに遭うことが出来た。当寺岩手県にはホスピス、緩和ケアともに存在せず!やっと一関の磐井病院を皮切りに緩和ケア科の設置が始まろうとしていた時。国内外の様々なホスピス・緩和ケア病棟をご存知で、その必要性を伝導していたH先生のお話は、カナダで緩和ケアを体感した当時の私にはとても共感でき、たくさんの思いを語り、意気が上がったものだった。
三重苦?
そんな仲間にも恵まれ、緩和ケアの導入と市民ボランティアの普及、そして緩和ケア・ホスピスケアに不可欠と言われる「スピリチュアル・ケア」の実践のいわばお試しとして、私も関わることになった。
しかし当時のわが岩手県は、今思うと「三重苦」の時代だったように思う。①緩和ケア・ホスピスケアが認知されていなかった。②病院における市民ボランティアの例がなかった。③宗教者が医療の現場に関わることが皆無だった。つまり「緩和ケアに関わる市民ボランティアのお坊さん」って、とーっても奇異な存在だったのだ。三重に訝しがられながら(汗)でもその状況で緩和ケアのボランティア立ち上げや教育プログラム作り、医療者への講演やワークショップなど、H医師とはさまざまな試みをともにした。
(参考:過去記事)
そして、驚きの現在地
そして、10年後の現在ではなんと!岩手県には17の病院に緩和ケア・ホスピスの病棟またはTEAMがあり、ケアを提供してるそうだ!すごいじゃないですか。。。
そして東日本大震災以降、「臨床宗教師」という資格が誕生し、全国で活躍の場を広げていて、H医師のいるC病院にも臨床宗教師のお坊さんがボランティに週2回訪れている。H医師いわく、医療スタッフの受け入れも好意的で、もしかすると領域が被ってぎこちなくなるかもしれないと心配した臨床心理士とも、なんの摩擦もなく機能しているとのこと。すばらしい。。。
しかも驚いたことに臨床宗教師を導入する時点で、緩和ケアの基本の「4つの痛み」に対応する4つのケアである「①身体のケア」「②心のケア」「③生活のケア」「④スピリチュアルケア」のうち、前3つは今までのスタッフでカバーできるが、「スピリチュアルケア」だけは何をどう提供していいかわからないというある種の欠落感があり、臨床宗教師が来ることでそのピースが埋まったことを感じたと言うんです!
(参考:過去記事)
satoryoki.hatenablog.com
あらためて、スピリチュアルケアとは?
10年前は、スピリチュアルケアとは?なんて疑問のず~っと手前にあった岩手の医療が、現在ではいよいよその領域に足を踏み込んでいることが(つまり全体の経験と意識の水準が高まった)ほんとうに驚きとともに嬉しかった! 反面、10年前に僕らがやっていたことってやっぱり当時からしたら10年早かったんだな。。。とも思います。あぁ、僕ももし今「臨床宗教師」を名乗って活動したら、もうちょっと評価されるかも(笑)
ともかく、H医師との短い邂逅と対話は、僕が足掛け10年やってきた緩和ケア・ホスピスケアの”実り”を実感する愉しい時間でした。
え?
スピリチュアルケアって何?
ネットを検索すれば色々出てくるだろうけど、僕の言葉で言えば…
(参考:過去記事)
「言葉や理屈であらわしきれない
”生き死にそのものへの不安と希望”に向き合うために、
”ただそこにいる” ことで仲介者となること」
かなあ。
そしてその武器は「無力さ」と「愛おしさ」。
それはまた別の機会に。。。
Unlock yourself.
Unlock your compassion.
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【 佐藤良規 】
*「津波で生き残った僧侶のほんとうの話」
「生きていることの奇跡」
「ほんとうに”生きる”とは」
「被災地で知ったほんとうのグリーフケア」
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