Unlock yourself. 自分を”アンロック”せよ

津波から奇跡的に生還した”禅僧”の「自分をアンロック」するブログ。

葬式坊主よ、生死を語れ

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マインドフルネスの攻勢

それにしてもマインドフルネスの隆盛には

目を見張る物がある。

本もたくさん出版されてるし

雑誌をざっと見てみると…

 

日経ウーマン

ニューズウィーク

訪問看護と介護

ケアマネージャー

ターザン

アンアン

ダイヤモンド

日経おとなのOFF

etc...

 

すごいです。

 

※マインドフルネスとは?については

日本のマインドフルネス界をリードする

友人のサイトを貼っておきます。

mindful-leadership.jp

 

仏教語の氾濫?

一方で、マインドフルネスとは

もともと仏教の言葉で

「サティ」「気づき」「正念」と訳されるもの。

つまり世の中に出回るマインドフルネスの本を

「正念」と置き換えてみると、

 

「光の中の正念」

「正念入門」

「正念子育て法!」

「正念で実現する最強のメンタル」

「1日10秒正念」

「初めての正念入門」

スタンフォード 正念教室」

etc...

 

という状況と言っても過言じゃない?!

これだけ世の中に仏教用語が氾濫したこと

有史以来あったでしょうか(笑)

 

マインドフルネスのキラキラ感と

ところで、

ウチのヨメさんが

親戚の葬儀に参列してきた。

 

帰ってくるなり大きなため息をつき、

 

「葬儀の場って、疲れるね。。。」

 

と一言。

 

そこで僕は、はたと気づいた。

 

マインドフルネス界は

脳科学ビッグデータやリーダーシップや

コンパッションやレジリエンス

イケてる言葉たちで溢れていて

なんだかキラキラ眩しく見えるけれど…

 

(参考:過去記事) 

satoryoki.hatenablog.com

 

僕らの呼ばれてゆくところ

ある話題になった本で

「医療を施さない病院」と称された

僕ら「葬式坊主」の日常で

 

僕らが呼ばれていくところは

 

高層ビルのセミナールームでも

IT企業のラウンジでもない。

洒落たヨガスタジオでも

オープンテラスでもない。

 

月参りや葬儀、年回忌供養。

大切な人を失った悲しみに

途方に暮れる家族の待つ

自宅や通夜会場なのだ。

 

声にならない声を聞き

耐えきれない沈黙をわかちあい

嗚咽し

肩を抱き合い

自分の無力さに打ちひしがれ

生命の不条理さを嘆く。

 

数え切れないほど

涙をこらえてきただろう。

 

そんな、場所。

 

なんと切実で、

なんと人間味に溢れ

なんと重みのあることよ。

 

葬式坊主の現場は、ここだよ。

 

 (参考:過去記事)

satoryoki.hatenablog.com

 

葬式坊主よ、生死を語れ

脳科学の研究や

データ解析に明るいのもいい。

心理学や認知行動科学

哲学に宗教学。

 

データ化

可視化

システム化

メソッド化

プログラム化

 

それもいい。

 

しかし

葬式坊主を待つもの。

 

それは

 

人の

 

生きる人の

 

痛みであり

嘆きであり

慟哭であり

絶望であり

恐れであり

喜びであり

友愛であり

希望であり

 

生きることそのもの、なのだ。

  

泥の中で膝をついて

泣きながら手を取り合う。

 

そんな葬式坊主が、愛おしい。

 

葬式坊主よ、

 

ありがとう。

 

そこにいてくれて、

 

ありがとう。

 

僕も、その一人だよ。

 

葬式坊主よ、

マインドフルネスに日和るな。

 

答えでなく

境涯でなく

用語でなく

粉飾でなく

格好でなく

虚栄でなく

 

中途を語れ

苦悩を語れ

悲哀を語れ

矛盾を語れ

安堵を語れ

温度を語れ

感触を語れ

歓喜を語れ

決意を語れ

真実を語れ

 

お前を語れ

 

生死を語れ。

 

あなたを待ってる人が、いる。

 

 

Unlock yourself.

Unlock your experience.

 

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アップデートする仏教 (幻冬舎新書)

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生命のともしびは、風とともに(2)

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ともしびは風とともに

寝たきりになって以来、ほとんど会話らしい会話もしない祖父。呼びかけると頷いてコミュニケーションはできる。痛みもあるはず、コミュニケーションもできる。なのにまるで積極的に生きるのをやめたかのような祖父。落ち着かず、何もできないと自分を悔しく思いながらもそばにいると、祖父の大きく呼吸をする音が静けさを伝える。

 

8月7日。どうも様子がおかしいと看護師さんが少しうろたえる。家族をはじめ、お寺の役員さん、近所の人たちも祖父の横たわる和室の方を心配そうに眺めている。私は今思えばどこか「長男」としての責任を感じ、来たるべき瞬間を見届けなければと思っていた。

 

呼吸が、少しずつ遠のいてゆく。

不意に、息を吸う営みが止んだ。

 

痩せた首元の血管は

間隔の遠のく脈をかろうじて打っていた。

 

ふと気がつくと

その僅かな「証し」だった脈も、

もうそれがどこなのかわからなくなってしまった。

 

その時

僕には”ふっ”と

目に見えない風が横切り、

祖父の”生命”を運び去ったように感じた…。

 

あぁ、祖父は逝ってしまった。

 

僕には、感覚としてわかった気がした。

祖父の生命を運び去った風の感触が

確かに感じられたのだ。

 

・・・・・

こんなふうに

祖父は静かに旅立っていった。

本堂には、お盆の準備が終えられていた。

 

死とは、かくも荘厳なるか

高校生だった僕は、その「死」の瞬間に驚きとともに立ち会った。死とは、こんなに荘厳で、威厳のあるものなのか…。

 

これが、僕の「死」の原体験になった。漠然と死を恐ろしく、避けるべきものと感じていた僕は、事実の全くの荘厳さに本当に胸を打たれた。

 

(参考:過去記事) 

satoryoki.hatenablog.com

 

母方の祖父

対象的に、母方の祖父は、長期療養型病院で、ある朝検温に来た看護師さんに亡くなっているところを発見された。

その一週間前に、僕は父母と見舞いに行った。いかにも病院ですといった体のリノリウムの真っ白な壁。あまりの無機質さに「部屋」と呼ぶことも躊躇われる。僕は正直、打ち捨てられた実験室のようだと思った。そこに横たわる母方の祖父は、誰とも知らないい同居人と物も言わず寝入っていた。純粋だっただろう僕は、あまりの淋しさに(祖父の淋しさに)に言葉を失い、帰りのクルマの中で、悲しくて泣いた。

 

母方の祖父の死を知った時、あの真っ白な部屋に寂しそうに横たわる祖父の姿…いや、あの病院に預けざるを得ない何百の家族たちと患者たちの、もしかしたら病院のスタッフの「どうしようもない感」の総量が悲しくて悲しくて、ただ、悲しかった。

 

 

寄り添うこと

片や、家族から近所のひとまで見守る中、荘厳ささえ感じる旅立ち。

片や、あまりに無機的な病室での孤独な旅立ち。

 

今となれば、よもやまの事情もわからないではないし、旅立つ”本人の”思いも想像でしかない。けれど高校生の僕には、そのコントラストが強すぎる光のように胸の奥底に焼き付いた。そして高校生の僕の感性には、できれば父方の祖父のように、多くの人に見守られ、威厳の中で旅立ってほしいという、”願い”が残った。

 

これが火種となって、大学在学中に”ホスピス”に出会うのです。その延長で、住職になることを決意し、子どもたちの育つ環境づくりへの関心と、僕のミッションが移り変わってきます。そのきっかけとなった二人の死こそ、祖父たちからの最大の贈り物だったのかもしれない。

 

ふたりとも、僕を可愛がってくれたなぁ。 

おじいさん(父方の祖父)、ありがとう。

じんちゃん(母方の祖父)、ありがとう。

 

ほら、オレは元気だよ!

 

 

 

Unlock yourself.

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生命のともしびは、風とともに(1)

 

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二人の祖父

僕には二人、祖父がいる(いた)。同居していた父方の祖父と、母方の実家の祖父。その二人の祖父が同時期に他界した。僕が高校生二年と三年のときだ。その二人の祖父の”最期のありよう”があまりにも対照的だった。まだ純朴さだった僕にはちょっと受け入れがたいものだった。そのショックが引き金となって、ホスピスに興味をもつようになったのは大学の時。その時点ではまだ、ショックとしか受け取れてはいなかった。

その、父方の祖父の「死に様」が、今の僕の「”死”の原風景」となっている。

 

父方の祖父

同居していた父方の祖父は(以下、単に”祖父”と記述します)、今のうちのお寺の先々代の住職。肝臓がんの末期を医師から告げられると「あぁ、そうか。」と頷くと、やることがあるからと言って一切の治療を”明快に辞退”し、寺に戻ってきた。祖母はじめ家族はみんな”何かしら”の治療を受けることを勧めた。医師も、場合によっては相当な痛みも予想されるから、定期的に診察してくれと頼んできたが、それも断っていた。かろうじて近隣に住む看護師さんが毎朝”安否確認”に来てくれた。

 

変わらぬ日常

寺に帰ってきてからも、朝の勤行と坐禅を毎日続ける祖父。祖母には、「今日はついに声が出なかった…」とこぼしていたらしい。そして日中はいつものように野良仕事しつつ、お盆へ向けて”卒塔婆”書きをしていた。

 

しばらくたったある夜、

 

祖父がいわゆる「小僧時代」を過ごした東京のお寺の”娘さん(年は祖父と変わらない)”Rさんが、病状を聞きつけ東京からお見舞いにきてくれた。事実上「お別れ」でもあるお見舞いだ。

 

(参考:過去記事) 

satoryoki.hatenablog.com

 あとは頼んだ

その夜は皆がとても楽しく食べ、飲んだ。近況を言い合い、昔話に花を咲かせ、僕は祖父がとても楽しそうなのが無性に嬉しかったのを覚えてる。

 

次の日、Rさんが帰ったあとから、祖父は寝たきりになった。高校生だった僕は不思議に思い、祖母に病状を聞いた。

すると…

 

昨夜、茶の間での会食が終わり、皆が床につき始めた頃。祖父は私の父を呼んで、こう言ったそうだ。

 

「明日から寝たきりになるから、

    あとは頼んだぞ。」

 

生命のともしびが

寝たきりになってからの祖父は、「痛いとこ、苦しいとこありますか?」と聞いてもただ首を横に振るばかり。お医者さんからは”いろいろな痛みがあるはずだけど…”と首を傾げられる。

僕は祖母と一緒にパンパンに腫れ上がった下半身を拭きながら、これで痛くないはずない…と、恐怖を感じていた。

 

そして、お盆を目前に控えた8月7日…

(その2へ続く)

 

Unlock yourself.

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